アイアンヘッドをデザインする際
『低重心化にする』ことは
アイアンヘッドをやさしいものにする の代表例です。
ボールの半径・地面からのボールのセンターは22ミリ位なので
これを基準に それ以下のモノを低重心
それ以上のモノを高重心と呼びます。
まあ 表立って低重心と呼べるのは
重心高さが20ミリ(以下)を切ったものでしょうね。
この10年でスイング論が異質な形に変わってきてしまっているので、
この低重心化というのがやさしいもの と言えるのかどうか
少々 の時代になりました。
本来はゴルフクラブによって 簡単かそうでないかの目安の
代表例が「ボールを上げる能力」だったのですが
煽るスイングが主流の現在、低重心化はボールを上げることに寄与
しなくなっており、逆に失速を生み出す可能性が生まれてきています。
ユーティリティなどもそうですが、重心の高さが18ミリを下回り
それよりも低いものは 煽り打ちの人には危険です。
意外かと思いますが
ソールが厚かったり、大きくても
実は「低重心化」にはあまり関係ないのです。
ソールの奥行き(厚み)が 1mm増えても
重心は1ミリなんて全く下がりません。
機種や形状によりますが 製品誤差程度
0.5ミリ以下程度の変化しか起こりません。
特別な異形としない限り
アイアンを低重心にするのは 二つの方法 です。
①アイアンの高さ(上下方向)を薄く(低く)する
死語になってしまいましたが、
上下に小さい(薄い?低い?)アイアンのことを
ロープロファイルのアイアンと言いますが
この形状は典型的に低重心を優先した形状です。
ロープロファイルの形状のアイアンは
総じて トゥ側も低めに取り
ヒール~トゥ方向への末広がりが少ないアイアンになります。
一般的なアイアンの形状で
ロープロファイルの 特にトゥ側の低いアイアンヘッドは
重心距離の短い、小振りな形状になりがちで
低重心であっても 慣性モーメントの低い
ミスにシビアなアイアンになりがちです。
ふるーいアイアンですが、代表的なものは
ブローニング というのがありますね。
(知ってる人いないでしょうね)
この形状は ロープロの代表でもあり
重心距離の長さもあってとても特徴的ですね
まあ アイアンと言うよりも
L型パターに近い形状です。
通常のアイアン という形では
この手の ロープロファイルのモノは殆ど姿を消しましたが
たらこ型のユーティリティにその流れが残ってますね。
②ネックを短くする
ソールを厚くするよりも はるか効率的に低重心になります。
特に近年、接着剤の性能があがり
接着面積を少なくしても安全になったのに伴い
この20年でかなり短いネックが主流です。
機種によっていろいろではありますが
古いタイプのものに比べると 30mm近く短く
30mm近い鉄の筒がなくなったのですから
低重心化するのは確かです。
一方、そのネックについて 気になるのは
最近のパターです。
パターは転がすこと、ボールを上げないで転がすことを
主目的にしていますから
低重心である理由も、深重心である理由もありません。
低重心・深重心ともにパターにとって
良い面は少なく、よりよいボールの転がりを作り辛くなります。
マレットや私の目からは異形なパターは
慣性モーメント →ミスへの寛容性 を上げる
という名目で大きくなっているものが多いですが、
ボールの良い転がりを犠牲にしている面が少なくないと思います。
ならば 高重心・浅重心で
ヘッド重量を重くすればいいのですが…
おそらく 科学的、ロボット的なデザインの方が
進化したもの、進んだものと
ユーザーは感じてしまうのでしょうね
大型キャビティがミスに寛容とは限りません
そう 低重心とは別な話題ですが
ミスへの寛容性 慣性モーメントの話をしましょう。
多くのゴルファーは
大きなヘッド=ミスヒットに強い
大型ヘッド→慣性モーメントが多い
という風に考えていますが、
実は真実ではありません。
ボールの打撃 真っ直ぐ飛ぶとか高く上がるは
物理現象であり、視覚現象からは生まれません。
ミスへの寛容性が高い というのは
アイアンに限らず、 パターやドライバーもそうですが
ヘッドの運動「持続」能力が高く
ボールに接触しても そのサマによって
運動が阻害されにくく、影響を受けにくいことを言います。
それを用語として「慣性モーメント」と言います。
つまり ゴルフクラブのフェースにどこかの芯があり
その芯にあてるとか、その芯の広さとか
フェース面上のボールの当たり所 ではないのです。
慣性モーメントは当然ヘッドの創り と ヘッド重量
そしてヘッドの移動速度の掛け合わさった総体 です。
大型のキャビティヘッドが慣性モーメントが高いのは
重量が周辺に配分されており その分
おおよそのボールの当たりどころに対し
重さ×距離分 重さが多くなる効果 という意味です。
ですので 機種など造りによって多少差はありますが
キャビティヘッドだから コンベンショナル(ブレード)
マッスルバックのアイアンヘッド
よりも ミスに寛容 というのは正直、真っ赤な嘘で
230gのヘッド重量の大型キャビティアイアン よりも
◎270gのヘッド重量の小型マッスルバックのアイアン
の方が慣性モーメントは大きく、ミスに寛容 というのは
普通にあり得ます。
ただし コンベンショナルなアイアンは
買うユーザーの嗜好上、重心距離も短く
ヘッドを回転させることを念頭に使われるので
そういう使い方も含め ミスに寛容かどうかは
微妙ではあります。
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